SS04: ライフサポートと震災復興【一般公開セッション】

オーガナイザ:
三好 扶 (岩手大学)
  萩原 義裕 (岩手大学)
  金  天海 (岩手大学)
概要:
東日本大震災から5年が経過し、被災地の中心大学である岩手大学では様々な観点から震災復興を推進してきた。本セッションでは、その中でもライフサポートに対する取り組み事例を中心に、ライフサポートと震災復興の両輪を加速する学部改組についても併せて紹介する。
座長:
岩手大学・理工学部・システム創成工学科  三好 扶
プログラム:
10:45-10:55 農林水産業と工学の新たな接点
岩手大学  三好扶
    三陸地域では人口減少による労働力不足、後継者不足が従来より問題となっていた。これが東日本大震災によって顕在化し、復興推進を阻害する要因の1つとなっている。岩手大学が全学を挙げて復興推進に取り組む中で、農林水産業と工学系研究者との新たな接点ができ、革新的なものづくりを始めたのでいくつかの事例を紹介する。
10:55-11:10 画像センシングによるさんま傷検出
岩手大学  南川千春、加藤成将、Mengbo You、明石卓也
    従来のさんま仕分け作業においては目視と手作業による仕分け作業が一般的である.そこで仕分け作業の効率化を図るために魚体の傷のセンシングを行うシステムを開発した.本手法では魚体を上下から2台のカメラで撮影し,魚体領域の検出と頭尾判定および傷の検出を行った.パラメータの調整による検出率を調査した.
11:10-11:25 被災地漁業復興のための小型船舶の自律安定化に関する研究
岩手大学  栗林倫、金天海
    小型船舶を自律的に海上に定位させるには,水面抵抗等の加速度の影響を考慮する必要がある.本研究では力学系学習木を用いて加速度の推定を行う.推定に必要な,計算では求め難い船体に働く水面抵抗や重力などによる加速度a0を,力学系学習木に学習・推定させる.実機実験より,a0に加え,外力による加速度も推定できた.
11:25-11:40 高収率イカ加工機における自動計測手法
岩手大学  萩原義裕、アデルジャンイミティ
    東日本大震災の結果、水産加工業では労働力不足が深刻化した。自動化に関する様々な取り組みが行われているが、測定対象となる水産物は工業製品と異なり多様な形状であるため自動選別には適していない。本講演では、イカを短冊上に細断するイカ加工機における検品等の自動化にレーザー計測を用いたケースについて紹介する。
11:40-11:55 安全と自動化を目的とした静的破砕剤による樹木伐倒法
岩手大学  栗林倫、金天海
    日本の林業では,伐倒作業中の労働災害が年間約800件も発生しており,安全な伐倒方法の確立が急務である.本研究では膨張剤を用いた樹木伐倒法として,孔の上下に切り口を設けたS字伐倒と,穿孔のみで伐倒可能な連鎖伐倒を提案する.膨張剤を杉丸太に投入した実験より両提案法で伐倒できることが分かった.
11:55-12:10 救急救命用スタンドレス輸液装置の開発
岩手大学  西村文仁
    大規模災害において,負傷者を救出するために,災害現場での使用に適した自動輸液装置の開発が必要である.本研究開発ではスタンド不要で,バッテリー駆動で高流量を実現できるローラー方式の小型ポンプの開発を目的とし,チューブの変形と流量の関係の調査,軸受けの改善,高効率モータの開発を行った実証試験機について述べる.
12:10-12:25 岩手大学に設立された理工学部生命コース
岩手大学  坂田和実, 一ノ瀬充行, 小栗栖太郎, 冨田浩史, 福田智一, 荒木功人
尾﨑拓, 芝陽子, 菅野江里子, 若林篤光
    震災復興におけるライフサポート分野を強化するため、岩手大学理工学部化学・生命理工学科生命コースでは、基礎研究から再生医療工学などの応用研究、また岩手県内の産業の発展や人材育成への貢献を目指した教育プログラムを展開している。本発表では生命コースの概要を紹介し、演者の研究(線虫神経回路の構造と機能)を報告する。
12:25-12:45 総括論議
    本セッションオーガナイザ、講演者を中心とし、聴衆の方々と今後の復興推進に対する工学系の寄与やその方法についてディスカッションを行い、広く復興推進のあり方や関わり方について周知する。