SS02: 日本が先導する支援機器の国際標準化【一般公開セッション】

オーガナイザ:
山内 繁 (支援技術開発機構)
  諏訪 基 (国立障害者リハビリテーションセンター研究所)
  井上 剛伸 (国立障害者リハビリテーションセンター研究所)
概要:
福祉用具やアクセシブル・デザイン分野の国際標準化において、日本は多大なる貢献を行っている。本セッションでは、改めてこの分野の日本のプレゼンスを発信し、国内での情報共有を図るとともに、今後の標準化戦略について議論することを目的とする。
座長:
日本福祉用具・生活支援用具協会 専務理事  清水 壮一
プログラム:
15:15-15:30 国際標準とは
支援技術開発機構 理事長  山内繁
    デ・ジュールの国際標準にはISO、IEC、ITUがある。これらの沿革、現代における国際標準の意義について解説する。さらに、ISOの組織とその権限、標準化におけるコンセンサスベースの手続き、設計規格から性能規格への転換とその意義など、ともすれば誤解されがちな問題点についても解説する。
15:30-15:45 福祉用具(TC173)国内委員会について
日本福祉用具・生活支援用具協会  板東哲郎
    ISOで福祉用具を担当するTC173の日本国内委員会で、福祉用具全般に関わる課題及びTC173で特定のSCやWGに属さない事案及びTC173全体の方針などについて検討する。それぞれのSCには事務局があるが、全体及びTC173直下のWGの事務局を日本福祉用具・生活支援用具協会が務めている。
15:45-16:00 車いすの国際標準(TC173/SC1)について
埼玉県産業技術総合センター  半田隆志
    本SCは、車いす関連の規格化をおこなっている。下部組織として、WG1(試験方法)、WG6(固定システム)、WG10(電動車いすの要求事項と試験方法)、WG11(シーティング)がある。このうち、WG1内には、「姿勢変換型車いすの試験方法」を規格化するためのタスクグループがあり、このリーダーは、日本が担当している。
16:00-16:15 福祉用具の分類と用語(ISO/TC173/SC2)について
国立障害者リハビリテーションセンター研究所 部長  井上剛伸
    ISO9999(福祉用具の分類と用語)は、用語の定義を示すとともに、ここで示される分類の構造は、福祉用具のデータベースや、福祉用具に関する調査で活用される。重要な規格である。日本が事務局を担当しており、現在第6版出版の最終段階にある。また、WHOとの協働で福祉用具の定義やICFの環境因子のについても議論している。
16:15-16:30 アクセシブルデザイン(TC173/SC7)について
共用品推進機構 専務理事  星川安之
    本SCは、障害の有無、年齢の高低等にかかわらず使いやすい製品・サービス(アクセシブルデザイン)の普及を支援するために制定されたISO/IECガイド71のもと、複数の個別製品に共通する規格の作成を、日本が幹事国を担い行っている。多くの国が高齢社会に向かっている中、AD製品・サービスの情報提供方法の標準化を検討中。
16:30-16:40 歩行支援機器(TC173/WG1)について(仮)
福祉用具総合評価センター センター長  田中繁
    現在の中心的テーマは、シルバーカーの規格作成,ISO9999(分類と用語)との整合性の調整、整合性調整に伴う歩行器の改訂、市場実態との矛盾に対する多脚杖の改訂、ヨーロッパでの事故発生に伴う歩行車の改訂などである。長くEU各国が議論を率いてきたが、日本のコンビーナ就任もあり、現在は日本の先導が不可欠となっている。
16:40-16:50 衛生関連機器(TC173/WG9)について
横浜市総合リハビリテーションセンター 部長  渡邉慎一
    2011年10月にTC173/WG9( Assistive products for personal hygiene )が立ち上がり、2014年に2度のCD投票、2015年FDIS投票を経て、ISO17966として発行されました。本規格の特徴は、対象が多目的・多機能な用具群であることで、本規格の概要について説明します。
16:50-17:00 認知機能支援機器(TC173/WG10)
フランスベッド株式会社 主任  山内閑子
    認知機能支援機器の指針のためのNWI投票は2013年9月に承認され、2014年3月にWG10が設立されました。作業はWDの作成から始まり、認知機能支援機器通則及び時間管理の支援機器の2つのCDを作成してきました。期限切れを避けるため、これらをCDとした2件のNWI投票を2016年7月から10月まで行うことになりました。
17:00-17:10 床ずれ予防クッション(TC173/WG11)
日本福祉用具・生活支援用具協会  久良知國雄
    床ずれ予防のための体圧分散機能等を有するマットレス、マットレスカバーや、体位変換用シート、同クッションなどに適用される規格で、それら製品の安全性と性能を規定する。2014年末から討議が開始され、現在日本を含めて10カ国が参加し、まもなくCD段階に入る。幹事国はデンマーク、コンビナーは英国が務めている。